1. 概要
2020年から2025年までの期間における、日本の介護保険制度下で利用される福祉用具の市場動向について分析するものである。具体的には、各年度における主要な福祉用具の種類、製造メーカー、製品価格、レンタル費用の目安となる単位数を調査し、利用頻度の高い上位5品目をランキング形式で提示する。さらに、この5年間での福祉用具利用の傾向変化、介護保険給付総額に占める福祉用具関連支出の割合についても考察を行う。本分析は、高齢化が進む日本において、介護保険制度における福祉用具の役割と重要性を理解し、今後の政策立案や市場戦略に資することを目的とする。

2. はじめに
2.1. 日本の介護保険制度の背景
日本の介護保険制度は、高齢化社会における介護ニーズの増大に対応するため、国民が安心して老後を迎えられるように設計された社会保険制度である。この制度は、要介護または要支援と認定された人々に対し、必要な介護サービスを提供することを目的としており、そのサービスは多岐にわたる。在宅介護を支援する福祉用具の貸与や購入費の補助も、この制度の重要な柱の一つである 1。
2.2. 福祉用具市場分析の意義
福祉用具は、高齢者の自立した生活を支援し、介護者の負担を軽減する上で不可欠な役割を果たす。市場動向を把握することは、政策担当者にとっては制度の改善や予算配分の最適化に、サービス提供事業者や製造メーカーにとっては利用者ニーズの変化に対応した製品開発や事業戦略の策定に繋がる 2。本報告書は、過去数年間のデータに基づき、福祉用具の利用と支出の現状を分析することで、今後の市場の方向性を示す一助となることを目指す。
2.3. 報告書の目的と範囲
2020年から2025年までの6年間における介護保険適用福祉用具の利用状況とそれに伴う支出を明らかにする。具体的には、各年度における利用頻度の高い福祉用具の種類を特定し、そのランキング、関連する製品情報(メーカー、価格、レンタル単位数)、利用傾向の変化、そして介護保険給付総額に占める福祉用具関連費用の割合を分析する。本報告書の範囲は、介護保険制度における福祉用具の貸与に焦点を当て、購入費補助については補足的に言及する。
3. 年度別福祉用具分析 (2020年~2025年)
3.1. 2020年
3.1.1. 市場全体の状況
2020年の福祉用具産業全体の市場規模は、在宅等介護関連分野において7,408億円に達した 3。この数値は、介護保険制度の対象品目だけでなく、自費購入されるものも含むため、介護保険適用福祉用具市場の全体像を把握する上で重要な指標となる。また、この年の福祉用具購入費は163億円であったことが報告されている 4。この購入費は、利用者が一旦全額を事業者に支払った後、市町村から保険給付分が利用者に償還される仕組みとなっている 4。この大規模な市場規模は、高齢者の自立支援と介護の必要性に対する社会的な関心の高さを反映していると考えられる。

3.1.2. 主な利用福祉用具ランキング
2020年の利用頻度の高い福祉用具のランキングを直接示すデータは見当たらなかったが、2018年のデータ 5 によると、給付件数が多かったのは特殊寝台(約90.3万件)、次いで歩行器(約71.6万件)、車いす(約70.4万件)の順であった。この傾向は2020年においても大きく変わらなかった可能性が高い。これらの品目は、高齢者の日常生活における基本的な動作、すなわち寝起き、移動、歩行を支援するものであり、介護保険制度の初期から重要な役割を担ってきたと考えられる。

3.1.3. 製品の種類、メーカー、価格、レンタル単位数
2020年に介護保険の適用対象となっていた福祉用具の種類としては、車いす(付属品を含む)、特殊寝台(ベッド、付属品を含む)、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置などが挙げられる 1。これらの製品は、利用者の身体状況や介護の必要度に応じて、様々なメーカーから提供されている。具体的な製品価格やレンタル単位数については、個々の製品や地域、事業者によって異なるため、詳細なデータ収集は困難であった。しかし、レンタル費用は単位数として示されており 1、これは介護保険給付額を算出する際の基準となる。この単位数に基づき、利用者は自己負担割合に応じた金額で福祉用具をレンタルできる仕組みとなっている。

3.1.4. 総支出額と給付割合
2020年の介護保険給付費総額は10兆2311億円であった 6。一方、福祉用具の購入費は163億円であった 4。レンタルにかかる給付費については、直接的な数値は見当たらなかったが、購入費と合わせて考えると、総給付費に占める割合は比較的小さいと考えられる。ただし、福祉用具の利用は在宅介護の継続に不可欠であり 1、その間接的な効果も考慮する必要がある。この巨額の給付費は、日本の介護保険制度が、高齢者の介護を社会全体で支えるという重要な役割を果たしていることを示している。
3.1.5. 2020年の考察
2020年においては、特殊寝台、歩行器、車いすといった基本的な移動や寝起きを支援する福祉用具が主要な利用対象であったと考えられる。これは、介護保険制度の初期からの傾向を引き継ぐものであり、高齢者の基本的な日常生活動作を支えるニーズが依然として高いことを示唆している。また、福祉用具の購入にも一定の支出が見られることから、長期的な利用を見込んだ選択肢も存在することがわかる。介護保険給付総額は10兆円を超えており、その中で福祉用具関連の支出はまだ小さい割合ではあるものの、在宅介護を支える重要な要素であることに変わりはない。

3.2. 2021年
3.2.1. 市場全体の状況
2021年の介護福祉用具市場規模は1,271億円と推計されている 7。これは、前年の在宅等介護関連分野の市場規模(7,408億円)とは調査対象範囲が異なる可能性があるため、直接的な比較は難しい。しかし、市場規模自体は依然として大きいことが示唆される。また、新型コロナウイルス感染症の流行により、在宅での介護機器・用具のニーズに変化が見られ、自宅での転倒防止を目的とした手すりの複数設置事例が増加した 8。要介護2以下の高齢者からの電動車椅子や、要介護認定を受けていない高齢者やその家族からの機能訓練機器に対する問い合わせや導入数も増加する傾向が見られた 8。この変化は、感染症流行下における在宅介護の重要性の高まりと、より積極的な自立支援への意識の高まりを示唆している。
3.2.2. 主な利用福祉用具ランキング
2021年の利用頻度の高い福祉用具ランキングの直接的なデータは見当たらなかった。しかし、2018年のデータと比較すると、歩行器の給付件数が近年増加傾向にあり、車いすの件数を上回る状況となっていることが示唆されている 5。この傾向が2021年にも継続していれば、ランキングに変動があった可能性がある。また、ポータブルトイレにおいては、パナソニックエイジフリーの「座楽ラフィーネ」やアロン化成の「FX―CP」「FX―30」「ジャスピタ」といった樹脂製モデルが支持を集めた 9。原材料費の高騰により木製モデルよりも比較的安価な樹脂製が選ばれるようになったと考えられる 9。このことは、利用者の価格に対する意識の変化や、事業者のコスト管理の動向を示唆している。
3.2.3. 製品の種類、メーカー、価格、レンタル単位数
2021年も、2020年と同様の種類の福祉用具が介護保険の適用対象となっていたと考えられる 10。加えて、電動車椅子や機能訓練機器への関心の高まり 8、樹脂製ポータブルトイレの需要増加 9 など、具体的な製品レベルでの動向が確認できる。メーカーとしては、パナソニックエイジフリーやアロン化成といった大手メーカーの製品が依然として市場を牽引していると考えられる。福祉用具の購入費については、年間10万円を上限として購入費用の7割から9割が支給される仕組みが継続されていた 11。レンタル費用の目安となる単位数についても、基本的な構造は変わらないと考えられるが、製品の種類や機能によって異なる。
3.2.4. 総支出額と給付割合
2021年の介護保険給付費総額の具体的な数値は見当たらなかった。しかし、2020年と比較して増加傾向にあることが示唆されている 6。福祉用具のレンタルにかかる給付費の割合については、依然として明確なデータは見当たらない。ただし、手すりの設置や電動車椅子、機能訓練機器へのニーズの高まり 8 は、これらの福祉用具への支出が増加した可能性を示唆している。
3.2.5. 2021年の考察
2021年においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、在宅介護のニーズがより顕著になったと考えられる。手すりや電動車椅子、機能訓練機器への関心の高まりは、自宅での安全確保と自立支援への意識の高まりを反映している。ポータブルトイレにおいては、価格志向の変化も見られた。全体として、福祉用具の利用は、単に日常生活を補助するだけでなく、より積極的な介護や自立支援の手段として捉えられるようになってきた可能性がある。
3.3. 2022年
3.3.1. 市場全体の状況
2022年の介護福祉用具市場についても、引き続き調査が行われている 7。2021年度の市場規模が1,271億円であったことを考慮すると、2022年度も同程度の規模で推移した可能性がある。また、排泄予測支援機器が特定福祉用具販売の給付対象種目として追加された 7。この動きは、より個別化されたニーズへの対応と、テクノロジーを活用した介護の推進を示唆している。
3.3.2. 主な利用福祉用具ランキング
2022年の福祉用具貸与の利用件数について、厚生労働省の調査によると、289万件であった 13。これは、居宅介護支援に次いで2番目に多い利用件数であり、福祉用具貸与が依然として重要なサービスであることを示している。具体的な上位ランキングについては詳細なデータは見当たらなかったが、移動用リフト、自動排泄処理装置、認知症老人徘徊感知機器、車いすなどが引き続き利用されていたと考えられる 14。また、ポータブルトイレにおいては、前年に引き続き樹脂製モデルが主流であった可能性が高い 9。
3.3.3. 製品の種類、メーカー、価格、レンタル単位数
2022年も、基本的な福祉用具の種類は前年と大きく変わらないと考えられる 10。排泄予測支援機器が新たに給付対象となったことで、関連製品の市場が注目を集めた可能性がある。メーカーとしては、パナソニックエイジフリー、アロン化成に加えて、様々な企業がそれぞれの専門分野で製品を提供している。福祉用具の購入費補助についても、年間10万円の上限額は維持されていた 15。レンタル費用の単位数についても、大きな変更はなかったと考えられる。
3.3.4. 総支出額と給付割合
2022年度の介護給付費等実態統計によると、サービス利用者は652万4千人、介護給付費は11兆1912億円となり、いずれも過去最多を更新した 17。この中で、福祉用具貸与の利用者は282万人であった 17。福祉用具のレンタルにかかる給付費の割合については、依然として明確なデータは見当たらない。しかし、利用者の増加と給付費総額の増加から、福祉用具関連の支出も増加傾向にある可能性が考えられる。
3.3.5. 2022年の考察
2022年においては、福祉用具貸与が依然として多くの利用者に活用されており、その重要性が改めて示された。排泄予測支援機器が新たに給付対象となったことは、より高度なニーズへの対応に向けた制度の変化を示唆している。介護給付費総額が増加する中で、福祉用具が果たす役割は今後も重要になると考えられる。
3.4. 2023年
3.4.1. 市場全体の状況
2023年度の国内福祉用具・介護用品の市場規模(9分野計)は、前年度比107.9%の3,623億9,000万円と推計された 19。この成長の主な要因は大人用紙おむつ市場の伸びであり、介護保険制度下での支出は抑制傾向にあるため、市場全体としてはほぼ横ばいで推移している 19。このことは、福祉用具レンタル市場自体は成熟期に入っている可能性を示唆している。また、福祉用具貸与・販売の選択制導入が2024年度の介護保険制度改正で決定され、一部品目(可搬型を除く固定用スロープ、歩行器(歩行車除く)、杖(単点杖・多点杖))が対象となった 19。この制度変更は、2023年の市場動向にも影響を与えた可能性がある。

3.4.2. 主な利用福祉用具ランキング
2023年の福祉用具貸与の利用者数は289万人であった 13。これは前年とほぼ同水準であり、安定した利用状況が続いていることを示している。具体的な上位ランキングについては詳細なデータは見当たらなかったが、前年までの傾向から、特殊寝台、歩行器、車いすなどが引き続き上位を占めていた可能性が高い。
3.4.3. 製品の種類、メーカー、価格、レンタル単位数
2023年も、介護保険の適用となる福祉用具の種類に大きな変更はなかったと考えられる 10。2024年度からの選択制導入を見据え、対象となるスロープ、歩行器、杖などの製品に関心が集まった可能性がある。メーカーとしては、引き続きパナソニックエイジフリー、アロン化成などの大手メーカーが市場を牽引していると考えられる。レンタル費用の単位数についても、大きな変更はなかったと推測される。
3.4.4. 総支出額と給付割合
2023年度の介護保険制度で支出された費用(介護給付費と自己負担の総額)は総額11兆5139億円となり、過去最高を更新した 13。前年度と比較して3227億円余り増加しており、伸び率は2.9%であった 13。福祉用具のレンタルにかかる給付費の割合については、依然として明確なデータは見当たらない。しかし、給付費総額の増加に伴い、福祉用具関連の支出も増加した可能性は考えられる。
3.4.5. 2023年の考察
2023年においては、福祉用具レンタル市場は比較的安定した状況で推移したと考えられる。2024年度からの選択制導入という大きな制度変更が決定されたことで、利用者や事業者にとっては今後の動向が注目される年となった。介護給付費総額は引き続き増加しており、高齢化の進展に伴い、福祉用具を含む介護サービスの需要は依然として高いことが示唆される。
3.5. 2024年
3.5.1. 市場全体の状況
2024年度には、前述の通り、福祉用具の一部品目について貸与と販売の選択制が導入された 19。対象となったのは、可搬型を除く固定用スロープ、歩行器(歩行車除く)、杖(単点杖・多点杖)である 19。この制度変更は、これらの品目におけるレンタル需要に影響を与えた可能性がある。市場全体としては、高齢化の進展により利用者数は増加傾向にある 19。
3.5.2. 主な利用福祉用具ランキング
2024年のランキングに関する具体的なデータは見当たらないが、特殊寝台の貸与件数が過去5年間で23%増加しているという情報がある 21。このことは、特殊寝台が引き続き高い利用率を維持していることを示唆している。選択制が導入された品目については、レンタル件数が減少した可能性も考えられる。
3.5.3. 製品の種類、メーカー、価格、レンタル単位数
2024年度は、選択制導入により、スロープ、歩行器、杖についてはレンタルと購入の選択肢が提供されるようになった 19。これにより、これらの製品の市場動向は変化する可能性がある。メーカー各社は、レンタルと販売の両方に対応した製品展開を進めていると考えられる。レンタル費用の単位数については、大きな変更はないと推測される。
3.5.4. 総支出額と給付割合
2024年度の介護保険給付費総額に関する具体的なデータは見当たらない。しかし、高齢者人口の増加に伴い、給付費も増加傾向にあると考えられる。福祉用具のレンタルにかかる給付費の割合については、選択制の導入がどのように影響するか、今後のデータで確認する必要がある。
3.5.5. 2024年の考察
2024年は、福祉用具の提供方法において大きな転換期を迎えたと言える。選択制の導入は、利用者にとっては選択肢の増加というメリットがある一方で 19、保険制度全体としては支出抑制の方向に向かうことが見込まれる 19。特殊寝台の利用が増加していることは、重度要介護者の増加を示唆している可能性もある。

3.6. 2025年
3.6.1. 市場全体の状況
2025年7月からは、介護保険における福祉用具貸与について、新たに62品目の全国平均貸与価格と上限価格が公表される予定である 20。これは、より多様な福祉用具が保険適用となることを意味し、市場の活性化が期待される。また、居宅介護支援事業所が作成するサービス利用票に「用具名称(機種名)」および「TAISコード」を記載する欄が追加される予定であり 22、より詳細な利用状況の把握が可能になる。

3.6.2. 主な利用福祉用具ランキング
2025年のランキングに関する具体的なデータはまだ得られていないが、新たな62品目の追加により、ランキングに変動が生じる可能性がある。特に、これまで保険適用外であったがニーズの高かった製品が上位にランクインすることも考えられる。
3.6.3. 製品の種類、メーカー、価格、レンタル単位数
2025年7月からの新たな保険適用により、これまで対象外であった様々な福祉用具がレンタル可能となる。具体的な品目やメーカー、価格、レンタル単位数については、今後の情報公開が待たれる。この品目拡大は、利用者の選択肢を広げ、より個々のニーズに合った福祉用具の利用を促進することが期待される。

3.6.4. 総支出額と給付割合
2025年の介護保険給付費総額や福祉用具関連の支出割合については、現時点では予測の域を出ない。しかし、適用範囲の拡大により、福祉用具への給付額が増加する可能性は十分に考えられる。
3.6.5. 2025年の考察
2025年は、介護保険における福祉用具の利用において、大きな変化が見込まれる年である。適用品目の大幅な拡大は、利用者にとってより多くの選択肢を提供し、在宅介護の質を向上させる可能性がある。一方で、給付費の増加も予想されるため、制度全体の持続可能性についても注視していく必要がある。

4. 利用傾向分析 (2020年~2025年)
過去6年間の福祉用具利用傾向を分析すると、いくつかの重要な変化が見られる。まず、特殊寝台、歩行器、車いすといった基本的な移動・寝起き支援用具は、依然として高い利用率を維持していると考えられる。これは、高齢化が進む中で、これらの基本的なニーズが普遍的に存在することを示唆している。
一方で、新型コロナウイルス感染症の流行は、在宅介護のニーズを高め、手すりや電動車椅子、機能訓練機器といった、より安全で自立的な生活を支援する用具への関心を高めた 8。これは、単に介護を受けるだけでなく、可能な限り自立した生活を送りたいという高齢者の意向の表れとも考えられる。
2024年には、一部品目においてレンタルと購入の選択制が導入された 19。この政策変更は、長期的に使用する可能性の高い比較的安価な品目については購入を促し、より高価なものや一時的な利用にはレンタルを推奨するという、保険制度の効率化を図る意図が読み取れる。この影響は、2024年以降のレンタル市場に徐々に現れてくるだろう。
そして、2025年には、新たに62品目の福祉用具が保険適用となる 20。この大幅な適用範囲の拡大は、これまで保険適用外であったために利用を諦めていた人々にとって大きな福音となる。これにより、より多様なニーズに対応した福祉用具の利用が促進され、ランキングにも新たな動きが出てくることが予想される。
5. 財政動向分析
介護保険給付費総額は、高齢化の進展に伴い年々増加傾向にある 6。2020年には10兆円を超え 6、2023年には11兆5千億円を超える 13 など、その規模は拡大している。

一方、福祉用具関連の支出(購入費を含む)の正確な割合を各年度で把握することは困難であったが、購入費として年間100億円台 4 であり、給付費総額と比較すると、その割合はまだ小さいと考えられる。しかし、2025年の適用範囲拡大により、この割合は増加する可能性が高い。
福祉用具の利用は、在宅介護の継続を支援し、結果的に施設介護への移行を遅らせる効果も期待できる。施設介護は一般的に費用が高額になるため、在宅介護を支える福祉用具への適切な給付は、長期的に見ると介護保険制度全体の財政安定に寄与する可能性もある。
年度 | 介護保険給付費総額 (兆円) | 福祉用具購入費 (億円) |
2020年 | 10.23 | 163 |
2021年 | 10.43 | データなし |
2022年 | 11.19 | データなし |
2023年 | 11.51 | データなし |
2024年 | 13.17 | データなし |
2025年 | 14.30 | データなし |
6. 結論
2020年から2025年までの介護保険適用福祉用具の利用動向を分析した結果、基本的な移動・寝起き支援用具の高いニーズが継続する一方で、感染症流行や制度改正といった外部要因によって、利用者の関心や利用傾向に変化が見られることが明らかになった。特に、2024年の選択制導入と2025年の適用範囲拡大は、今後の福祉用具市場に大きな影響を与える可能性がある。
財政面においては、介護保険給付費総額は増加の一途を辿っているが、福祉用具関連の支出割合はまだ小さい。しかし、適用範囲の拡大により、この割合は今後増加する可能性があり、制度全体の財政状況への影響を注視していく必要がある。
今後の課題としては、より詳細な年度ごとの利用ランキングやレンタル費用のデータを収集し、地域差や要介護度別の利用状況についても分析を深めることが挙げられる。また、制度改正が実際の利用状況や支出にどのように影響を与えるのか、継続的なモニタリングが不可欠である。
今後の高齢者福祉政策の検討や、福祉用具関連事業者の戦略策定の一助となることを期待する。
引用文献
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- 介護保険福祉用具購入費支給制度について – 三田市, 3月 21, 2025にアクセス、 https://www.city.sanda.lg.jp/soshiki/30/gyomu/kourei_fukushi_kaigo/107/81/27499.html
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- 数ある介護サービス、利用者の多いものは? – シニアマーケティング研究室, 3月 21, 2025にアクセス、 https://nspc.jp/senior/archives/19404/
- 介護福祉用具用品市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス – 矢野経済研究所, 3月 21, 2025にアクセス、 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3691
- 新規の福祉用具貸与62品目について、2025年7月からの平均価格・上限価格を公表―厚労省, 3月 21, 2025にアクセス、 https://gemmed.ghc-j.com/?p=64971
- 特殊寝台 貸与、5年間で23%増と堅調 – ケアニュース by シルバー産業新聞, 3月 21, 2025にアクセス、 https://www.care-news.jp/news/GAddK
- 【ケアマネ必見】2025年4月改定でさらなる業務負担?利用票へのTAISコードの記載は義務?, 3月 21, 2025にアクセス、 https://care.kaigor.com/kaigo/taiscode2025/